RCEP、来年1月1日に発効=関税撤廃率9割、自動車恩恵 2021年12月30日

 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国など15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が来年1月1日に発効する。日本が中韓と結ぶ初めての経済連携協定(EPA)となる。自動車部品など工業分野を中心に最終的な関税撤廃率は91%(品目ベース)に上り、特に国内自動車関連産業が恩恵を受ける。
 工業製品では、中国向けの関税撤廃率が8%から86%へ約20年かけて上昇する。脱炭素社会で需要拡大が見込まれる電気自動車(EV)モーターの一部などが段階的に関税がなくなる。韓国向けは自動車用電子系部品などが段階的に自由化され、撤廃率は19%から92%に上がる。
 農林水産物・食品の輸出増にも追い風だ。インドネシア向けの牛肉、中韓向けの日本酒など日本が強みを持つ品目で段階的に関税が撤廃される。
 日本政府の試算によると、関税撤廃・削減で貿易が活性化し、日本の実質GDP(国内総生産)が約15兆円押し上げられる。経済効果は日本やオーストラリアなど11カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)の約2倍に上る。
 一方、安価な農産品流入で打撃を受けかねない国内農家を保護するため、「聖域」と位置付けるコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目は輸入時の関税撤廃・削減の対象外とした。輸入品のうち衣類やマツタケ、マッコリなどの関税が将来的にゼロとなり、消費者には朗報だ。
 RCEPは中国にとって初めて入る大型貿易協定。インド太平洋地域の成長の取り込みを狙う中国は9月、TPPに加入申請した。台湾も続いて申請したほか、韓国は加入に向けた手続きを始める意向を表明している。 

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