食品、値上げラッシュ=年明け続々、原材料高響く 2021年12月21日

 小麦粉製品や食用油など、家庭向けの食品の値上げが年明けから相次ぐ。コロナ禍で落ち込んだ経済活動の回復に伴う世界的な需要の増加で、原材料が高騰。物流費も上昇し、多くの食品メーカーが自助努力は限界として価格に転嫁する。既に値上げされた商品もあり、家計の負担はさらに増えそうだ。
 山崎製パンは来年1月1日から食パンと菓子パンの出荷価格を平均7.3%上げる。日清フーズは1月4日から小麦粉製品を約3~6%、ミックス粉製品を約4~6%値上げする。政府が輸入小麦を民間に売り渡す価格を今年10月に改定し、半年前と比べ19%上げた影響だ。小麦の国際価格は中国の旺盛な需要も背景に上昇、日本は小麦の9割を輸入に頼るだけに影響は大きい。麺類を値上げするメーカーもある。
 食用油では、J―オイルミルズが来年2月1日から菜種油製品を1キログラム当たり40円以上値上げする。食用油は今年4回値上げされており、菜種油はさらに値上げとなる。菜種は主産地カナダの干ばつで生産量が減少。植物油は、食用だけでなく、脱炭素社会に向けたバイオ燃料向けの需要も拡大する。
 食用油の価格上昇は他の食品にも波及。キユーピーは3月1日、今年7月に続きマヨネーズを値上げする。カルビーは1月下旬以降、ポテトチップスを値上げする。
 食品大手の首脳は「原材料の上昇ペースが上がっている」と頭を抱え、中堅スーパーの関係者は「原油高で物流費も上がっている」と話す。
 食品の値上がりは、消費者の財布のひもを堅くする。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「消費マインドが冷え、(コロナ禍の抑制の反動による)『リベンジ消費』に水を差す可能性もある」と指摘する。 

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