飲食店の労災、高止まり=年5000人前後で推移―若年層多く・厚労省まとめ 2021年12月19日

 飲食店従業員の労働災害事故は近年、高止まりが続く。厚生労働省がまとめた労災発生状況によると、2020年の死傷者数は4953人。19年より188人減ったが、新型コロナウイルス感染拡大による営業制限で、雇用者数が大きく減ったことが影響したとみられている。
 飲食店労働者1000人当たりの死傷率は2.27と、19年より0.08ポイント上昇。過去5年で最も高くなった。
 20年に発生した飲食店従業員の労災死傷事故のうち、分類で最多となったのは「転倒」で1386人。「切れ・こすれ」が970人、「高温・低温の物との接触」が708人と続いた。
 年齢別の死傷者は、20~24歳が728人と最多。次いで19歳以下が610人と、若年層が当事者となっている実態が浮かぶ。
 死傷者数は10年が4021人だったが、増加傾向となっており、近年は5000人前後で推移する。厚労省は「製造業や建設業は10年前と比べて減る傾向にあるが、飲食店を含む三次産業は顧客サービス優先で労働者の安全確保が不十分になっている面もあるのではないか」と指摘している。 

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