製造業景況感、改善ストップ=非製造業、宣言解除で持ち直し―12月日銀短観 2021年12月13日

 日銀が13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス18と、前回9月調査から横ばいとなった。部品不足や原材料価格の高騰などが響き、昨年9月調査から続いてきた改善はストップした。一方、大企業非製造業はプラス9。緊急事態宣言の全面解除を受け、市場予想を上回る7ポイントの大幅上昇となった。
 DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
 大企業製造業の景況感は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い昨年6月調査でマイナス34まで急速に悪化。その後は輸出が好調な自動車をけん引役に改善してきたが、今回、部品不足などを背景とする自動車の減産が幅広い業種に波及した。自動車はマイナス8と1ポイント低下。鉄鋼、化学、非鉄金属なども景況感が悪化した。
 大企業非製造業は、宣言が9月末で全面解除されたことに伴い、対面型サービスなど多くの業種で景況感が改善。特に外出控えや時短営業などの打撃を受けてきた宿泊・飲食サービスはマイナス50(前回はマイナス74)、遊園地など対個人サービスはマイナス9(同マイナス45)と、マイナス幅が大きく縮小した。
 物価全般の見通しは、全規模全産業で1年後に1.1%増と、仕入れ段階だけでなく販売段階も含む物価上昇を見込み始めた。また企業規模を問わず人手不足感も強まっており、企業活動を制約しかねない。先行きについては、大企業製造業がプラス13、非製造業がプラス8といずれも悪化を予想。今回の調査では十分に織り込んでいないものの、コロナの新しい変異株「オミクロン株」感染拡大への懸念もくすぶる。
 日銀がコロナ対応策見直しの判断材料としている資金繰りに関する指数は、前回調査とほぼ変わらず。大企業を中心に良好な資金調達環境が維持されていることが確認された。 

特集、解説記事