中国、自動車「最大市場」に=日本勢、挽回へ次世代技術カギ―中国WTO20年 2021年12月11日

 中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから20年がたち、同国内の自動車販売台数は当時の10倍超に拡大。米国を抜いて世界最大市場に躍り出た。中国進出で欧米メーカーに先行を許した日系メーカーは、電動化など次世代技術で巻き返しの機会をうかがっている。
 WTO加盟前の2000年、中国の年間販売台数は200万台余りにすぎなかったが、その後は右肩上がりで増加。ピークの17年には約2900万台と、米国の1.6倍に達した。
 膨大な人口を抱え、将来を有望視された中国市場にいち早く参入したのは独フォルクスワーゲン(VW)。米ゼネラル・モーターズなど欧米メーカーが追随し、日本勢は出遅れた。
 トヨタ自動車は02年8月、中国大手の第一汽車と包括提携し、本格参入を果たした。その頃、中国市場におけるVWのシェアは5割に達していた。
 18年以降、販売台数が減少傾向をたどっているとはいえ、中国市場は世界の自動車メーカーにとって主戦場。マツダ幹部は「世界中のどこよりも参入ブランドの数が多く、競争が厳しい」と話す。
 日本メーカーが挽回できるかどうかは、次世代技術がカギを握る。中国政府は電気自動車(EV)など「新エネルギー車」の普及を急いでおり、日産自動車は26年度までに中国での電動車販売比率を40%以上に引き上げる。ホンダは来年、刷新した安全運転支援システムの搭載モデルを中国でいち早く発売する。
 トヨタが20年に中国で販売した台数は180万台で、世界全体の2割に相当する。この割合は今後、各社とも増加しそうだが、裏を返せば中国への依存度は高まるばかり。米中対立のあおりを受けるリスクを常に抱えることになり、「政治的な問題に巻き込まれると立ち位置が非常に難しい」(大手メーカー)との声も漏れる。 

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