脱炭素型の住宅、普及促進=控除延長で中所得層支援―税制改正 2021年12月09日

 2022年度税制改正で、住宅ローン減税の控除率を現行の1%から0.7%に引き下げることが決まった。一方で、50年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府目標の達成に向け、脱炭素型住宅の普及を促す仕組みを設けた。控除期間を現在の10年間から13年間に延長し、住宅を購入する中所得層への支援も手厚くする。
 控除対象となる借入残高の限度額は、長期優良住宅などで5000万円、それ以外の住宅で4000万円の2段階だった。今回は、23年までの入居の場合、省エネ性能に応じて3000万~5000万円の4段階を設定。マンションを含め新築の8割が省エネ基準を満たしており、大半で「上限4000万円」以上の区分が適用される。一方、省エネ基準を満たさなければ24年以降に建築確認した物件は対象外となる。
 上限4000万円の区分が適用されると、現行は10年間で最大400万円の減税が受けられる。新制度では、23年までに入居した「省エネ基準適合住宅」の減税額は最大364万円へ減少するが、より性能の高い「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅」は410万円に増える。
 また、高所得層が受ける恩恵を減らす一方、住宅購入者の大半を占める中所得層への支援を打ち出した。所得要件は現行の3000万円以下から2000万円以下に引き下げて、一部の高所得者を除外。1%の控除率を最大限利用できない中所得層を念頭に、控除率を下げる代わりに期間を延長して、減税のメリットが行き渡るようにした。
 国土交通省のモデル試算では、年収600万円の人が省エネ基準適合住宅を取得した場合、現在の控除額は297万円だが、新制度で適用期間が延びるため、307万円に増える。 

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