エリザベス女王の君主制廃止=カリブ島国バルバドス、共和制へ―英影響力に陰り 2021年11月29日

 【ロンドン時事】カリブ海の島国バルバドスが30日、エリザベス英女王(95)を元首とする「英連邦王国」を離れ、立憲君主制から共和制に移行する。これにより「王国」メンバーは16カ国から15に減少。君主制廃止に関心を示す国は他にも複数あるとされる。君主制は形式的なものだが、同様の動きが広がれば、英国の国際的プレゼンスに影響が及ぶのは必至だ。
 人口約29万人のバルバドスは1966年に英国から独立。その後も元英植民地など54カ国で構成する英連邦に引き続き加盟し、このうち女王を元首に頂く「王国」にも残った。しかし昨年9月、「植民地の過去から脱却する」として共和制への移行を発表した。
 先月にはサンドラ・メーソン総督を初代大統領に選出した。メーソン氏は今月30日に大統領に就任、これによりエリザベス女王の元首としての役割は終わる。ただバルバドスは英連邦にはとどまる方向だ。
 君主制廃止は、大英帝国の植民地支配を受けてきた国々が、そうした歴史の象徴である英王室との結び付きを絶つことで過去を克服しようとする試みと言える。「王国」の一員が共和制を選んだのは1992年のモーリシャス以来。カリブのジャマイカやセントビンセント・グレナディーンでも共和制移行の是非が議論に上っているという。
 ロイター通信によると、キングス・カレッジ・ロンドンのリチャード・ドレイトン教授(帝国・世界史)は、バルバドスの決断は「特にカリブの英語圏諸国に重大な意味を持つ」と影響が波及する可能性を指摘。さらに、女王は70年近い在位期間を通じて「英連邦に深く関与し、加盟国と個人的な関係を築いてきた」とし、女王亡き後には「王国」に属するカナダやオーストラリアなどでも君主制廃止が「喫緊の課題」に浮上すると予測した。 

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エリザベス英女王(左)とバルバドス大統領に就任するサンドラ・メーソン氏(AFP時事)
エリザベス英女王(左)とバルバドス大統領に就任するサンドラ・メーソン氏(AFP時事)

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