エチオピア紛争激化に懸念=ノーベル平和賞の首相、前線から指揮 2021年11月26日

 【ロンドン時事】エチオピアで政府軍と反政府勢力の紛争が激化している。反政府勢力による首都アディスアベバ進攻が間近との情報も伝えられ、各国政府は相次いで在留自国民の国外脱出を勧告。2019年に隣国エリトリアとの紛争終結などでノーベル平和賞を受賞したアビー首相は、戦闘指揮のため自ら前線に赴き、戦況の泥沼化とさらなる流血の事態に懸念が強まっている。
 エチオピアでは昨年11月、政府軍と北部ティグレ州の反政府勢力ティグレ人民解放戦線(TPLF)が衝突。同州への空爆を伴う政府軍の大規模作戦に対し、TPLFはゲリラ戦で抵抗を続け、戦闘は周辺に拡大。今年6月に州都メケレを奪還したTPLFは、夏ごろから他の武装勢力と共同戦線を張って次々と要所を制圧。報道によると今週初めには首都北東220キロ地点まで迫った。
 「首都陥落」の可能性が増す中、各国は相次いで自国民の退避を呼び掛け、国連は無条件かつ即時の停戦を要求。米政府も「軍事的解決はない」と双方に自制を訴えているが、反政府勢力は首都に向け進撃を続けているもよう。政府側も、アビー首相が「国を救う最終段階にある」として自ら前線に赴き、国民にも「殉職」を求めるなど、捨て身の覚悟で反撃を試みる構えだ。 

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エチオピアのアビー首相=10月4日、アディスアベバ(AFP時事)
エチオピアのアビー首相=10月4日、アディスアベバ(AFP時事)

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