インド首都の封鎖1週間延長=3週間経ても続く医療崩壊―医学誌、異例の批判 2021年05月09日

 【ニューデリー時事】インドの首都ニューデリーを管轄するデリー首都圏政府は9日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため4月19日から実施中のロックダウン(都市封鎖)を17日まで1週間延長すると発表した。延長は3度目。3週間に及んだ封鎖でも「医療崩壊」状態を脱することができず、苦境が続く。
 インド政府によると、9日朝(日本時間同午前)までの24時間の全土での新規感染判明数は40万3738人。40万人を超えるのは4日連続。死者も2日続けて4000人を上回った。
 首都では、4月に1日2万5000人近かった新規感染者数が最近、2万人以下で推移する。これが数少ない希望となっている。
 デリー首都圏政府のケジリワル首相は9日、記者会見し「陽性率は下がっているが、依然、余裕を持つことはできない」と訴えた。間引き運転中の地下鉄を10日から運休し、より厳しい制限を導入する。
 首都以外の各州も次々に都市封鎖入りした。ただ、インド紙タイムズ・オブ・インディアは「封鎖前日の南部チェンナイでは、通りが混雑している」と写真入りで報じ、感染対策が徹底されていないと伝えた。
 モディ政権は、感染対策を地方政府に「丸投げ」している状態で、全土で統一した歩調が取れていない。8日付の英医学誌ランセットは論説で、モディ政権が十分な対策を取らず、支持母体のヒンズー教徒の宗教行事や、地方議会選での大規模な選挙運動を許し「自ら国民的大災害を招いた」と異例の批判を行った。「政府が失敗を素直に認め」対策を立て直すことが重要だと指摘した。 

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8日、ニューデリー近郊で、酸素の投与を受ける新型コロナウイルス感染が疑われる患者(EPA時事)
8日、ニューデリー近郊で、酸素の投与を受ける新型コロナウイルス感染が疑われる患者(EPA時事)
8日、インド北部アムリツァルで、地元パンジャブ州政府が導入したロックダウン(都市封鎖)に抗議する農家ら(AFP時事)
8日、インド北部アムリツァルで、地元パンジャブ州政府が導入したロックダウン(都市封鎖)に抗議する農家ら(AFP時事)

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