企業の対応加速=新市場「プライム」基準厳格化―来年4月に東証再編 2021年05月04日

 東証は来年4月、「1部」など4市場を「プライム」など3市場に再編する。市場ごとの上場基準を厳格にすることで特徴を明確にし、国内外から投資マネーを呼び込むのが狙いで、2013年の東証と大阪証券取引所(現大阪取引所)の合併以来の大改革となる。最上位市場プライムを目指す企業は株主構成を見直すなど対応を加速させている。
 東証は、1部、中堅企業向けの「2部」、新興企業が入る「ジャスダック」と「マザーズ」で上場市場を構成している。再編後はプライム、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業の「グロース」の3市場体制となる。
 従来の1部は時価総額250億円以上などが上場基準だった。プライムでは、親会社の保有分などを除き実際に売買できる「流通株」に限った時価総額で100億円以上が条件となる。全株式に占める流通株の比率も35%以上を維持しなければならず、企業統治指針に沿って経営陣の多様化も求められる。企業には価値向上へ不断の取り組みが不可欠となる。
 東証は今年6月末時点の状況に基づき、各企業に再編後の基準に適合する市場を通達。企業は年末までに上場先市場を選んで申請する。現在の1部上場企業は基準に未達でも希望すれば当面プライムに残留できるが、条件を満たす具体策を示さなければならない。
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算では、約2200社ある1部企業のうち、約700社がプライムの基準を満たしていない。退場に追い込まれれば、株価や資金調達、採用活動などに悪影響が及びかねず、「当落線上」の企業から対応する動きが出ている。
 自動車内装を手掛けるトヨタ紡織は、流通株比率を高めるため、大株主のトヨタ自動車に保有株売却を要請して受け入れられた。文具メーカーのキングジムも、発行済み株式の約3%に当たる自社保有株を消却した。 

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東証が入っているビル=4月20日、東京都中央区
東証が入っているビル=4月20日、東京都中央区

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