気候サミット、22日から開催=日米、目標強化へ―中国の動向焦点 2021年04月20日

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は22、23両日、気候変動に関するオンライン首脳会議(気候変動サミット)を主催する。世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国である中国と2位の米国だけで総排出量の約4割を占める。台湾情勢や人権をめぐり対立が深まる中、地球規模の課題で米中が共同歩調を取れるかが焦点の一つだ。
 バイデン氏はサミットに日本や中国、ロシアなど主要排出国・地域の首脳40人を招待した。環境保護に消極的だったトランプ前政権からの政策転換と、多国間枠組みへの復帰をアピールする狙いがある。米国は2030年までの温室ガス削減目標の大幅引き上げを発表する予定で、日本や英国、カナダ、韓国も強化策に言及する方向だ。
 バイデン政権はサミットを前に、中国に徹底的な温暖化対策を迫る姿勢を見せる。ブリンケン国務長官は19日、温室ガス排出源とされる石炭火力発電への資金支援を「有害な行為」と断じ、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて石炭火力を輸出する中国を暗にけん制した。米欧は石炭火力輸出に対する公的支援禁止に向けた国際合意を目指している。
 一方、中国は温室ガス削減目標の設定やルール形成をめぐる主導権争いを優位に進めたい考えだ。習近平国家主席は20日の演説で、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」について「相違のある責任と原則を堅持する必要がある」と表明した。自国を「途上国」と位置付け、米欧の先進国からの排出削減圧力を回避する思惑がありそうだ。
 米中両国は18日、上海で行われた気候変動に関する特使の協議を終えて共同声明を発表し、サミットへの「期待」を表明した。ただ、習氏が出席するのかはまだ明言しておらず、サミット直前まで駆け引きが続きそうだ。 

特集、解説記事