政府、大阪の「緊急事態」検討=商業施設への休業要請調整―東京の是非も見極め 2021年04月19日

 大阪府の吉村洋文知事は19日、新型コロナウイルス感染急増を受け、政府に緊急事態宣言の発令を要請する考えを表明した。20日に正式決定する。商業施設への休業要請などを調整している。政府も発令に向け検討に入っており、菅義偉首相が週内に最終判断する見通し。東京都は早ければ22日にも発令を要請する方向で、首相は小池百合子知事の意向を踏まえて是非を見極める。
 大阪、東京とも宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が適用中。飲食店に午後8時までの営業時間短縮要請を続けているが、変異ウイルスの影響もあり状況悪化に歯止めがかかっていない。首相は19日、大阪の現状について「危機感を持っている」と記者団に述べた。
 緊急事態宣言が発令されれば昨年4月からと今年1月からに次いで3回目。休業の要請が可能になり、要請・命令に応じない場合の罰則(過料)も重点措置の「20万円以下」から「30万円以下」に引き上げられる。
 吉村知事は従来以上に強力な対応を取る考えで、記者団に「街全体の人の動きをいったん停止するくらいの厳しい内容が必要だ」と強調した。飲食店に加えて百貨店、テーマパークなどを含む幅広い休業要請を念頭に国と調整中。京都、兵庫両府県とも連携する。
 宣言の期間について、大阪市の松井一郎市長は19日、「2週間でめどをしっかり付けることが必要だ」と指摘。休業要請に応じた事業者への協力金は、時短の場合より増額すべきだとの考えを示した。
 西村康稔経済再生担当相も参院決算委員会で「宣言をちゅうちょすべきでない。今まで以上に強い措置が必要だ」と訴えた。
 東京都も宣言要請に向けた検討を進めている。東京で発令されれば、夏の五輪・パラリンピックの国内観客上限をめぐる議論に影響が出そうだ。
 ◇埼玉など4県、20日から重点措置
 一方、政府は20日、重点措置の対象に埼玉、千葉、神奈川、愛知4県を5月11日を期限として追加。各知事は対象区域の飲食店に午後8時までの時短営業を求める。 

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記者団の質問に答える菅義偉首相=19日、首相官邸
記者団の質問に答える菅義偉首相=19日、首相官邸
取材に応じる大阪府の吉村洋文知事=19日、府庁
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