米アップル、高まる構造転換圧力=新手数料も反発多く 2024年03月05日 14時54分

米ニューヨークのアップルの店舗(EPA時事)
米ニューヨークのアップルの店舗(EPA時事)

 【シリコンバレー時事】米アップルが、欧州の音楽配信市場で支配的地位を乱用したとして巨額の制裁金を科された。スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を中心に自社サービスに「囲い込む」戦略が、市場競争を阻害しているとの判断だ。日本なども規制に動いており、事業構造の転換圧力が高まっている。
 4日の欧州連合(EU)欧州委員会の発表によると、制裁金は約18億ユーロ(約2900億円)。スウェーデンの音楽配信サービス大手スポティファイの訴えを踏まえた調査で、競争法(独占禁止法)違反を認定した。アップルは、消費者被害の証拠がないとして不服を申し立てる方針だ。
 同社は、顧客保護を理由にアプリストアや決済システムを自社のみで提供。アプリ開発者から販売収入の最大30%を徴収しており、「アップル税」と批判されてきた。
 EUがデジタル市場法(DMA)でこうした手法を規制したことで、同社は欧州で他社参入を容認する方向にかじを切った。具体的には、従来の手数料を引き下げ、より低廉な手数料体系の外部サービスも容認する。
 ただ、インストールが年間100万回を超えたアプリについて、1回当たり0.5ユーロの手数料を課す新制度が反発を生んでいる。スポティファイのエク最高経営責任者(CEO)は「新税」と非難。顧客獲得コストが10倍になる恐れもあると指摘した。DMAが骨抜きになっているとして、EUに厳正な措置を求める声が上がっている。 

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