業界の「顔」、統治にもろさ=解任5日でCEO復帰―オープンAI 2023年11月22日 18時43分

 【シリコンバレー時事】米オープンAIの共同創業者サム・アルトマン氏が「解任」から5日で、最高経営責任者(CEO)に返り咲く見通しとなった。「チャットGPT」の公開により、文章や画像を自動で作る生成AI業界の「顔」の帰還に周辺は沸いている。しかし、同社が露呈したガバナンス(企業統治)のもろさは生成AI活用への懸念を強める恐れがある。
 アルトマン氏の解任が発表されたのは17日。同社は「率直さを欠き、取締役会の責務遂行に支障を来した」と批判していた。
 経緯は不明だ。明らかになっているのは、共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツキバー氏が、アルトマン氏に解任を通告したということのみだ。
 それだけに、事業拡大を急ぐアルトマン氏と、安全性を重視するサツキバー氏の対立と見る向きもあった。ただ、20日に暫定CEOに指名されたゲーム実況配信サービス「ツイッチ」のエメット・シア元CEOは否定している。
 IT専門メディアのジ・インフォメーションは21日、アルトマン氏が解任のきっかけとなった行為を内部調査することに同意したと報じた。
 オープンAIは「人類の利益のためのAI開発」を掲げ、2015年にNPOとして設立。開発費用を賄うため19年に作った営利目的の子会社も、このNPOが統治することで、当初の目的を追求する仕組みにしたとアピールしてきた。
 生成AIは、生産性を高めると期待される一方で、偽情報拡散や芸術作品などの著作権侵害、雇用喪失といった脅威論も高まっている。開発企業の決定が容易にぐらつく状況は、利用者にも不安を与えかねない。 

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