戦後80年、記憶継承の機会に=日本は「橋渡し役を」―中満国連次長 2025年08月18日 19時53分

記者会見する国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)=18日午後、東京都千代田区
記者会見する国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)=18日午後、東京都千代田区

 国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)は18日、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザで続く戦闘などを念頭に「(世界は)軍拡にかじを切り始めた」と警告した上で、過ちを繰り返さないため、戦後80年の節目を「記憶の継承の機会」にすべきだと訴えた。東京都内で記者会見した。
 中満氏は、創設80年を迎える国連が「さまざまな分野で完全には機能していないことは事実だ」と指摘。「日本は加盟国から最も信頼されている国の一つだ」として、分断が深刻化する国際社会の中で調整役を果たすことに期待を示した。
 中満氏は今月、広島と長崎を訪問し、原爆投下80年の式典に出席。被爆者の高齢化が進む中、若者が教訓を語り継ぐ活動が草の根で広がっていることに「勇気づけられた」と語った。
 一方、核兵器を安全保障戦略の柱に据える動きが拡大するなど「核軍縮は逆行している」と分析。来年4月に開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議は過去2回決裂に終わっており、「NPT体制のさらなる弱体化を防ぐため、何としても一定の成果を出すことが非常に重要だ」と強調した。同11月には核兵器禁止条約の初の再検討会議も控えており、「日本政府にはぜひオブザーバー参加を検討してほしい」と呼び掛けた。
 また、人工知能(AI)やドローンといった新型兵器への対応も急務だと警鐘を鳴らし、国連の場を利用した「国際規範づくり」を促した。 

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