中国進出の日本企業に高まる不安=「問題行為、説明を」―スパイ罪で実刑判決 2025年07月16日 17時13分

天安門広場を警備する中国人民武装警察の部隊員=3月3日、北京(EPA時事)
天安門広場を警備する中国人民武装警察の部隊員=3月3日、北京(EPA時事)

 【北京時事】中国でスパイ罪で起訴されたアステラス製薬社員の邦人男性に懲役3年6月の有罪判決が下された。スパイ活動が認定されたものの、問題とされた具体的な行為は不明なまま。中国に進出した日系企業からは不安の声が上がった。
 「結局どんな行為が問題になったのか。そこが明らかにならない限り、中国で安心してビジネスはできない」。北京に駐在する日系メーカー幹部はこう訴えた。
 男性は2023年に北京で拘束された。その後、日系各社の間で中国への渡航を控える動きが出るなど影響が広がった。ある中堅メーカーでは、中国への出張者に不必要なデータを消した専用のスマートフォンを持参させるようになり、この運用が今でも変わっていないという。
 日本では中国への赴任希望者も減少。「後任が見つからず帰任できない」(日系商社)といった悲鳴も上がる。
 北京では16日、国内外の企業を集めた第3回中国国際サプライチェーン(供給網)促進博覧会が始まり、各国政府や多国籍企業の代表が集まった。米メーカーの担当者は「米国でも中国赴任希望者が減っている」と明らかにした。 

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