ガザ住民「隔離」に軍トップ反対=人質解放にマイナスと訴え―イスラエル 2025年07月16日 17時51分

【カイロ時事】イスラエルのカッツ国防相が先週公表したパレスチナ自治区ガザの住民を南部地域に「隔離」する計画について、同国メディアは15日、軍制服組トップのザミール参謀総長が「機能しない」として反対したと報じた。計画には国内外から批判の声が上がっているが、政権内にも異論があることが明らかになった。
カッツ氏の計画は、ガザ最南部ラファに「人道都市」を設置し、手始めに海岸沿いのマワシ地区から約60万人を移住させる。最終的には200万人を超えるガザの全住民を住まわせることが目標だ。
報道によれば、ザミール氏は13日、ネタニヤフ首相や主要閣僚らが参加した会議で、カッツ氏の案には「数え切れないほどの問題がある」と指摘。イスラム組織ハマスが拘束する人質に関し、解放に向けた同組織との合意が難しくなると警鐘を鳴らした。ネタニヤフ氏はこれに対し、計画を進める決意を強調。計画策定を任されている軍に対し、「より効率的で、早く、金のかからない」代替案を早急に示すよう要求したという。
「人道都市」計画については、オルメルト元首相が「強制収容所だ。民族浄化の一部だと言える」と批判。パレスチナ自治政府も「人道都市と言いながら、全く人間性を持ち合わせていない」と断じた。
一方、イスラエル軍は16日、ガザ南部ハンユニスを東西に分断する全長約15キロの「マゲンオズ回廊」を設置すると発表した。ハンユニスを分割し、地区ごとにハマスを掃討する狙いとみられる。
ガザでは食料配給所に集まる人々が殺害される事件が後を絶たない。ロイター通信によると、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は15日、過去6週間で875人が死亡し、うち674人は米イスラエル主導の「ガザ人道財団(GHF)」の配給所付近で命を落としたと発表した。OHCHR報道官は「このデータは多くの信頼できる人々を通じ、われわれが独自に集めた情報に基づくものだ」と説明している。