米国防総省、内紛で混乱=相次ぐ情報漏えい―権力争い背景、長官更迭論も 2025年04月23日 14時26分

【ワシントン時事】米国防総省が内紛で混乱している。ヘグセス国防長官の側近らによる権力争いが表面化し、内部情報が相次いでメディアに流出したためだ。ホワイトハウスはヘグセス氏を擁護しているが、与党共和党からも更迭論が浮上している。
NBCテレビは22日、ヘグセス氏が通信アプリ「シグナル」のグループチャットに投稿したイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する軍事作戦の内容が、米中央軍のクリラ司令官から機密性の高い通信手段で伝えられていたと報じた。ヘグセス氏はこれまで「機密ではなかった」と説明してきた。
軍事作戦の内容を巡っては、ヘグセス氏がチャットで家族と共有していたと20日に報じられたばかり。政治専門紙ポリティコは、ヘグセス氏にとって打撃となる報道が相次いだ裏側に、国防総省内の激しい対立があると伝えた。
それによると、内紛劇の中心はカスパー前長官首席補佐官だ。国防総省が今月、メディアに内部情報を無断で流出させたとしてカルドウェル前上級顧問ら幹部3人を解任した際、カスパー氏は主導的な役割を担った。自らに権力を集中させるため、強引な手法で追放したとされる。
解任されたカルドウェル氏らは共同声明で「根拠のない攻撃で、われわれの品位を中傷した」と反発。ポッドキャスト番組でも情報漏えいを否定し、名指しを避けつつ「われわれに個人的な恨みを持つ人々がいた」と訴えた。
ヘグセス氏は22日、NBCなどの一連の報道について、「国防総省から追放された連中が、われわれを妨害するために情報を漏らした」と根拠を示さず非難。一方で、混乱を招いたカスパー氏を首席補佐官から外したとも明らかにした。
ヘグセス氏に対しては、野党民主党が辞任を要求しているほか、共和党からも「私が上司なら責任を追及する」(ベーコン下院議員)などと更迭論が上がっている。CNNテレビによると、トランプ大統領は解任に慎重なものの、ホワイトハウスでは国防総省の機能不全に懸念が強まっている。