詐欺拠点に「邦人20人以上」=中国人犯罪組織が活発化―クーデター4年、混乱に便乗・ミャンマー 2025年01月24日 15時17分

タイ北西部ターク県側から撮影したミャンマー東部カイン州の少数民族武装勢力支配地域=2024年5月
タイ北西部ターク県側から撮影したミャンマー東部カイン州の少数民族武装勢力支配地域=2024年5月

 【バンコク時事】軍事クーデターから約4年が経過し内戦状態が続くミャンマーでは、混乱に乗じて複数の中国人犯罪組織が東部のタイ国境付近で活動を活発化させ、誘拐した外国人らに国際的なオンライン詐欺の実行を強要している。「20人以上の日本人がいる」という情報もあり、日本政府が確認を進めている。
 ミャンマー国軍は2021年2月、クーデターで民主化指導者アウンサンスーチー氏率いる政権を打倒。民主派と一部の少数民族武装勢力が抵抗し、今も戦闘が続いている。
 シンクタンク「米平和研究所」によると、東部カイン(カレン)州のタイ国境付近では、紛争で中立的な立場の少数民族勢力「カレン民族軍(KNA、旧国境警備隊)」が、混乱に乗じて影響力を増大。それに伴い、KNAや連携勢力が支配する地域では犯罪組織の拠点が拡大し、少数民族側も利益を得ているもようだ。
 拠点では、世界各国を対象としたオンライン詐欺などが行われている。実行役はミャンマー人に加え中国人を含む外国人で、自発的に来た人もいれば、偽の求人広告にだまされてタイに到着後、連行され加担を強要された人もいる。
 組織は主に中国人が管理し、銃で武装したKNAのメンバーらが警備員として拠点を守っている。実行役の中には指示に逆らったりノルマを達成できなかったりして暴行を受ける人がおり、身代金を支払って解放されたケースもある。
 タイの市民団体「人身売買被害者を支援する市民社会ネットワーク」は、脱出者らからの情報として、日本人20人以上を含むアジアやアフリカ、南米など21カ国の約6000人が監禁状態にある可能性があると指摘。主にタイ北西部ターク県から川を渡ってミャンマーに密入国したとみられ、正確な数字は不明という。
 日本政府は「事実関係を確認中」としている。在タイ日本大使館は「タイを含め東南アジアでの仕事を紹介されて渡航する場合、信用できるかなどをよく確認してほしい」と注意喚起した。 

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