米大統領選「トランプ氏有利」=インフレ再燃懸念せず―S&P元副会長 2024年10月20日 15時32分

インタビューに応じるS&Pグローバル元副会長のポール・シェアード氏=16日、米ニューヨーク
インタビューに応じるS&Pグローバル元副会長のポール・シェアード氏=16日、米ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】米金融・情報サービス大手S&Pグローバルの元副会長で著名エコノミスト、ポール・シェアード氏は、20日までに時事通信のインタビューに応じ、11月の米大統領選では共和党候補のトランプ前大統領が有利との見方を示した。民主党候補のハリス副大統領と比べ、トランプ氏は強い指導者だと評価。両候補の政策がインフレ再燃を招くとの警戒感も広がるが、シェアード氏は「あまり心配していない」と語った。
 シェアード氏は、トランプ氏優勢の背景として、自身が得意とする政策を遂行する強い意志を挙げた。一方、ハリス氏については「政策への理解の深さがあまりない」と分析。再選を断念したバイデン大統領の後継候補選びの党内手続きを巡り、不透明感が拭えていないことも逆風になると指摘した。
 ただ、民主党の組織戦が奏功し、投票率が上がれば同党に有利になるとも予測した。
 米金融市場では、トランプ氏が掲げる減税や輸入品への追加関税、ハリス氏が目指す住宅購入支援策などがインフレを助長する懸念がくすぶる。だが、物価上昇圧力が再び高まったとしても、シェアード氏は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げし、インフレ退治にかじを切ると説明した。
 金融緩和を望むトランプ氏は、政策決定に大統領が発言権を持つ必要があると主張しており、FRBの独立性が損なわれ、対策が後手に回る恐れもある。シェアード氏は大統領が意見表明する姿勢に一定の理解を示した。
 両候補ともさまざまな政策を打ち出しているが、経済成長に与える影響は「限定的だ」と予想。上下両院で多数派を握る政党が異なる「ねじれ」が生じる可能性などを念頭に置いた。 

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