極左活動家を国鉄敷地で拘束=五輪前TGV妨害との関連捜査―仏当局 2024年07月29日 17時37分

フランス国鉄の高速鉄道(TGV)の走行を確認する作業員=26日、北部シャルトル郊外(AFP時事)
フランス国鉄の高速鉄道(TGV)の走行を確認する作業員=26日、北部シャルトル郊外(AFP時事)

 【パリ時事】フランス捜査当局は28日、北部ルーアン郊外の仏国鉄(SNCF)敷地内で、極左活動家の男を拘束した。仏メディアが29日、一斉に報じた。当局は、パリ五輪開会式直前に起きた高速鉄道(TGV)網に対する破壊行為との関連について、調べを進める。
 報道によると、男は20代後半で、以前から情報当局の注意対象だった。男の車内からは、SNCFの敷地内に入るための鍵やペンチ、極左との関連をうかがわせる書類などが見つかった。現場では男以外に複数の不審人物が目撃されたが、逃走したという情報もある。
 取り調べに対し、男は「スプレーで落書きする」ため敷地内に侵入したと供述。破壊行為に及ぶ意図はなかったと否定したという。
 TGVは26日未明、パリと地方都市を結ぶ3路線で保安用ケーブルが切断・放火された。その影響で運行はまひし、推定80万人の足に影響が出た。
 捜査当局は、複数の遠隔地で同時に破壊行為があったことから、組織的・計画的犯行とみており、背後関係を含め男を追及する。
 SNCFはTGV網の復旧工事を28日に完了。全路線が29日朝までに正常運転に戻り、混乱は3日間で収束した。
 一方、南仏ブーシュデュローヌ県など全国6県では28~29日に通信会社のケーブルが何者かによって切断され、携帯電話回線に障害が発生した。フェラリ・デジタル担当副大臣はX(旧ツイッター)で「卑劣で無責任な行為」だと非難した。 

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