政権交代へ高まる期待=大統領選の投票開始―ベネズエラ 2024年07月28日 19時26分

ベネズエラのマドゥロ大統領の看板=27日、カラカス
ベネズエラのマドゥロ大統領の看板=27日、カラカス

 【カラカス時事】南米ベネズエラの大統領選は28日、投票が始まった。同日午後6時(日本時間29日午前7時)に締め切られ、即日開票される。経済と政治の混乱が収まらない中、政権継続の是非が最大の焦点。3選を目指すニコラス・マドゥロ大統領(61)の支持は伸びず、野党連合の元外交官エドムンド・ゴンサレス氏(74)が優勢。首都カラカスでは、チャベス前大統領から25年続く左派政権を見限り、政権交代に期待する声が聞かれた。
 テレビドラマの制作に携わるエルナンド・ファリアさん(69)は27日、「民主主義を取り戻さなければならない」と訴えた。以前勤めた民放は放送内容が政権に批判的と受け止められ、チャベス政権時の2007年に放送免許が更新されず、閉鎖に追い込まれた。今は別のテレビ局で仕事を続けている。「裁判所も選管も政権に依存している。これは独裁だ」と強調した。
 3人の子どもを養うデルシ・アンドラデさんは3年前に夫を亡くし、「生活が厳しい」と嘆く。週に3日路上で新鮮な海産物を販売するが、薬などを購入するお金にしかならない。それでも「生き延びるためだ」と説明。「変化のために投票する」と語った。
 街中では、マドゥロ氏への投票を訴える看板が至る場所に掲げられている。テレビが報じるニュースは同氏の動向ばかり。野党関係者の摘発は選挙期間中も後を絶たず、昨年10月に与野党が合意した公正な選挙の実施が危ぶまれる。
 シルビア・マチャドさん(65)は、野党の選挙立会人を申請したが、認められなかったことに憤慨。政権による妨害と感じていると話し、「ベネズエラが自由になるために、この候補者に投票しよう」と、ゴンサレス氏の顔が掲載された紙を指さした。
 27日夜には、投票を待ちきれない人々が列をなす姿がSNS上で拡散された。 

その他の写真

取材に応じるエルナンド・ファリアさん=27日、カラカス
取材に応じるエルナンド・ファリアさん=27日、カラカス
販売する海産物を手にするデルシ・アンドラデさん(左)=27日、カラカス
販売する海産物を手にするデルシ・アンドラデさん(左)=27日、カラカス
ベネズエラ大統領選で野党連合候補のゴンサレス氏を指さすシルビア・マチャドさん=27日、カラカス
ベネズエラ大統領選で野党連合候補のゴンサレス氏を指さすシルビア・マチャドさん=27日、カラカス

海外経済ニュース