100日間の短期決戦=「ハリス対トランプ」で再始動―米大統領選、接戦 2024年07月27日 14時19分
【ワシントン時事】バイデン米大統領(81)が11月の大統領選から撤退を表明して28日で1週間。民主党は後継にハリス副大統領(59)を指名する方向で結束し、ハリス氏は早くも選挙活動を本格化させた。暗殺未遂事件から間もない共和党のトランプ前大統領(78)は対ハリス氏へ態勢立て直しを急ぐ。大統領選の構図は一変し、両陣営は100日間の短期決戦に突入した。
「私たちは未来のために戦う」。23日、中西部ウィスコンシン州で遊説を開始したハリス氏は、黒人女性歌手ビヨンセさんの曲「フリーダム」(自由)が流れる中で登壇。トランプ氏が「米国を暗い過去に戻そうとしている」と対比を強調した。
ハリス氏は現職撤退の衝撃も冷めやらぬ22日、電光石火の勢いで党候補の指名に必要な過半数の代議員の支持を獲得。後継に推薦されてから24時間で8100万ドル(約125億円)の献金を集めた。寄付者の6割は今回の大統領選で初めての献金といい、ハリス氏は「老々対決」で停滞していた選挙戦に新たな熱狂を生んでいる。
一方、政治専門紙ヒルの集計によると、13日の銃撃後、トランプ氏の好感度は事件前の41.8%から44.9%に上昇した。24日の演説では、ハリス氏を「史上最も無能な極左」「不法移民の流入を許した」と徹底批判。新たな対決相手に照準を切り替えつつある。
バイデン氏の撤退表明後に実施された六つの主要な世論調査のうち、トランプ氏は四つ、ハリス氏は二つで全米支持率でリードした。ただ、ほとんどが1~3ポイント差にとどまり、レースは接戦との見方が強い。
主戦場にも変化が出そうだ。バイデン氏陣営は7月、「激戦州」を伝統的地盤のペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの東・中西部3州に絞り込んだが、ハリス氏陣営はこれを再び7州に拡大。同氏が黒人やヒスパニック系など人種的少数派に人気があることから、こうした層がより影響力を持つジョージア、ノースカロライナ、アリゾナ、ネバダの南・西部4州を加えた。
ハリス氏は8月1日にも党候補に選ばれ、7日までに副大統領候補を指名する見通し。19~22日の党大会で独自の政策や国家観を示すかが注目される。