政治の混乱は不可避=山田文比古・名古屋外大名誉教授―仏総選挙・識者談話 2024年07月08日 18時28分

山田文比古名古屋外大名誉教授(本人提供)
山田文比古名古屋外大名誉教授(本人提供)

 山田文比古・名古屋外大名誉教授の話 マクロン大統領率いる中道連合と左派連合が候補者一本化を行ったことで、極右・国民連合(RN)の議席数を抑えることができた。中道連合の議席数も事前予想より多く、善戦した。ただ単独で過半数の議席を獲得した政党はなく、マクロン氏は左派や右派と連立を組まざるを得ない。政治の混乱と停滞は不可避だ。
 マクロン氏が左派連合を率いる急進政党「不屈のフランス」と連立を組むことはない。中道連合を中心に、左派連合の社会党、右派の共和党などと組む考えのようだ。ただ、政策や予算を巡ってマクロン氏は毎回妥協を強いられることになり、レームダック(死に体)化する。
 新たな首相は、各党の合意を得られるよう、実務家など政治家以外から起用される可能性が高い。現時点で有力候補者はいないが、今月からパリ五輪・パラリンピックが始まるため、当面はアタル首相が務め、大会終了後に後任選びの動きが本格化するのではないか。
 マクロン氏は任期を全うする考えだが、今回の解散・総選挙はフランスで前代未聞の政治混乱を招いた。RNの台頭は防いだものの、真の意味で抑え込めたわけではなく、むしろ国民の間で極右と反極右の分断を深めた。RNのルペン前党首は2027年の大統領選を狙っており、ルペン氏にとって今回の選挙結果は手応えのあるものだった。この分断が政局にどう影響するかは、次の大統領選に持ち越されたと言える。 

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