ロ朝軍事協力「別次元に」=対ロ支援の中国へ対抗措置も―米国務次官補インタビュー 2024年07月04日 14時09分

クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)=5月21日(AFP時事)
クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)=5月21日(AFP時事)

 【ワシントン時事】クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は3日、国務省で時事通信とのインタビューに応じ、ロシアと北朝鮮による軍事協力について「別次元に達しつつある」と述べ、深い懸念を表明した。また、中国の対ロシア支援に関し「縮小の動きは見られない」と非難。支援が続いた場合、制裁を念頭に対抗措置を講じる考えを示した。
 ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は6月、24年ぶりに訪朝し、弾道ミサイルなどをロシアに供与する金正恩朝鮮労働党総書記と会談。両首脳は有事の際の相互支援をうたった「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。
 クリテンブリンク氏は「モスクワと平壌の結び付きが強まっており、欧州とアジアの両方を不安定化させる影響を及ぼしている」と指摘。北朝鮮がロシアに供与した兵器がウクライナの戦場で使用され、「罪のない市民を殺害している」と非難した。
 また、北朝鮮が米側の対話の呼び掛けに一切応じていないことに触れ、「現状では抑止力と制裁措置を強化するほか選択肢はない」と強調。日本や韓国などと連携し、北朝鮮の高まる脅威に対抗していく考えを示した。
 一方、イタリアで6月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、ロシアの防衛産業への中国の支援が「ウクライナでの違法な戦争継続を可能としている」として「深刻な懸念」を表明した。
 クリテンブリンク氏も、中国の積極的な対ロ支援が、米欧主導の制裁で打撃を受けたロシアの防衛産業の立て直しにつながったと批判。同盟・友好国と協力して中国側に懸念を伝えていくほか、「こうした振る舞いに歯止めをかけるために行動していく」と述べ、さらなる対中制裁も視野に対抗措置を検討する構えを示した。
 このほか、バイデン政権下で強化が進む日米韓の3カ国協力にも触れ、「ルールに基づく国際秩序を支えるため、東南アジアや太平洋諸島で取り組む計画について話し合っている」と説明。協力の「制度化」にも自信を示し、「最も効率的な方法を見つけ、機運を維持していきたい」と語った。
 岸田文雄首相は9日からワシントンで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する。韓国の尹錫悦大統領も参加する予定で、日米韓当局は3カ国首脳会談の開催に向け、調整を進めている。 

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