決選投票、支持者の説得焦点=与党と左派の共闘で―仏総選挙 2024年07月03日 18時47分

フランス総選挙で投票するマクロン大統領=6月30日、北部ルトゥケ(EPA時事)
フランス総選挙で投票するマクロン大統領=6月30日、北部ルトゥケ(EPA時事)

 【パリ時事】7日に決選投票が行われるフランス国民議会(下院、定数577)選挙で、マクロン大統領を支える中道与党と、対立してきた左派野党は2日、反移民などを掲げる極右野党・国民連合(RN)の過半数獲得を阻止するため候補の一本化に踏み切った。「歴史的投票」(仏メディア)まで残り5日での幅広い共闘。RNの勢いを土壇場で止められるか否かは、与党と左派による支持者の説得いかんだ。
 ルモンド紙の暫定集計では、与党と左派は決選投票で極右との三つどもえが予想された約180選挙区で候補を一本化し、票の分散を回避。他の約30選挙区でも左派が出馬を辞退し、極右候補が当選しにくくする。
 共闘には前例がある。代表的なのが2002年の大統領選だ。RNの前身「国民戦線」のジャンマリ・ルペン初代党首が決選投票に駒を進めると、国内は「反極右」一色となった。一騎打ちを演じたシラク大統領(当時)の得票率は、第1回投票の19.9%から決選投票の82.2%へと60ポイント余り上昇。党派を超えた勢力の結集が短期間で実現した。
 17年と22年の大統領選ではマクロン氏と、ルペン氏の三女マリーヌ氏が対決。17年は決選投票でのマクロン氏の得票率が第1回投票から40ポイント超、22年も約30ポイント上向いた。
 もっとも、総選挙と大統領選は別物。総選挙は選挙区ごとに候補者が異なり、勝敗が地域それぞれの事情に左右されやすい。与党内には左派との協力に異論がくすぶる。定年延長の年金改革など、国民に不人気の政策を強行したマクロン氏に対する左派の反感の大きさも、全国民的な「極右包囲網」を難しくしている。支持者らを説き伏せるのは容易でなさそうだ。
 パリ郊外に住む公務員クレール・トナンさん(57)は熱心な左派支持者。地元選挙区は期待の候補が決選投票に進出したため問題ないが、仮に与党の候補が残っていたら、「誰に投票すべきか、ものすごく悩むと思う」と話した。 

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