トランプ氏免責の審理、差し戻し=公私の行為区別で指針―20年大統領選巡る事件・米最高裁 2024年07月02日 05時23分

トランプ前米大統領=6月28日、南部バージニア州チェサピーク(EPA時事)
トランプ前米大統領=6月28日、南部バージニア州チェサピーク(EPA時事)

 【ワシントン時事】米連邦最高裁は1日、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴されたトランプ前大統領(78)が在職中の行為に対する刑事訴追の「免責特権」を主張した訴訟で、大統領による公的行為の免責を認める一方、私的行為については認めなかった。また、同氏の行為の公私を判断するよう求めて審理を下級審に差し戻した。
 最高裁の判決は6対3。これまで大統領経験者の起訴は例がなく、免責特権に関する「指針」が初めて示された。
 最高裁は「大統領の憲法上の権限の行使に関しては、免責されなければならない」と指摘。その上で、私的行為が除外されることについては「大統領は法の上位に置かれていない」と述べた。
 トランプ氏は20年大統領選を巡る事件で、国家を欺いた罪、有権者の権利の侵害など四つの罪状で起訴されている。
 今回の判決を受け、トランプ氏が抱える刑事裁判の中でも重大性が高い事件の初公判は、同氏が返り咲きを狙う11月の大統領選までに開かれない可能性がある。トランプ氏は自身のSNSに「われわれの憲法と民主主義にとって大勝利だ」と投稿した。
 起訴状によると、トランプ氏は20年大統領選の敗北を受け入れず、偽の選挙人を仕立て上げてバイデン前副大統領(当時)の当選を承認しないよう圧力をかけるなどの不正を画策。また、選挙に不正があったという虚偽を支持者に信じ込ませ、21年1月の連邦議会を襲撃する事件へとつながった。
 トランプ氏は起訴を受けて、大統領在任中の行為について「(大統領は)弾劾裁判で有罪とならない限り刑事訴追されない」として、訴訟を提起。一、二審で敗訴し、最高裁に上訴していた。 

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