「2000人埋没」は過大か=パプア地滑り、政府推計に疑問 2024年05月30日 16時26分

29日、パプアニューギニア・エンガ州の地滑り現場で、捜索活動を続ける人々(地元商工会議所会頭提供)(AFP時事)
29日、パプアニューギニア・エンガ州の地滑り現場で、捜索活動を続ける人々(地元商工会議所会頭提供)(AFP時事)

 【シドニー時事】南太平洋のパプアニューギニアで起きた地滑り災害で、「2000人以上が土砂に埋まった」とする同国政府の推計は多過ぎるのではないか、と疑問の声が上がっている。捜索が難航し、正確な犠牲者数の把握は難しい状況だが、地元では不明者や消失した建物の数から数百人規模との見方が強まっている。
 オーストラリア公共放送ABCによると、被災地エンガ州の当局者は30日、定住者のうち約160人が依然行方不明と説明。さらに、州外から出稼ぎに来ていた鉱山労働者らが現場付近にいた可能性がある。消失した建物は約150軒で、小学校も含まれている。
 24日未明に発生した地滑りの犠牲者数を巡っては、まず地区代表者が「300人以上」、次いで国連機関が「670人以上」との見方を発表。この後、パプア政府が「2000人以上」との推計を示したが、人口や有権者登録のデータを基にした机上の計算だった可能性が大きい。マラペ首相は29日に議会で、「初期段階の推計だ」と説明し、変動はあり得るとの認識を示した。
 これまでに土砂の中から見つかった遺体は6人。崖崩れが続き、地元当局は住民の避難誘導を優先しており、捜索は遅れる見込みだ。 

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