韓国大統領、対話転換もいばらの道=ねじれ国会、野党は疑惑追及―就任2年 2024年05月09日 18時23分

9日、ソウルで記者会見に臨む韓国の尹錫悦大統領(EPA時事)
9日、ソウルで記者会見に臨む韓国の尹錫悦大統領(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は9日の記者会見で、国民や野党との対話に力を入れる姿勢をアピールした。一方、国会で議席の過半数を占める野党は政権や妻を巡る疑惑の追及を強めており、3年目に入る尹政権にはいばらの道が待ち受ける。
 「久しぶりなので質問を十分に受け付けたい」。尹氏は笑顔をつくりながらこう切り出した。単独での会見は、約1年9カ月ぶり。4月の総選挙での与党「国民の力」の敗北を受け、国民との意思疎通不足というイメージ払拭を図る。
 野党が国会の過半数を大きく上回り、尹氏は任期最初から最後まで「ねじれ」に直面する民主化後初の大統領になる。政敵だった野党「共に民主党」の李在明代表とも会談して対話に乗り出し、会見でも「政府が国民生活のため仕事をするには国会の協力が必要だ」と呼び掛けた。
 ただ、勢いづく野党は今月2日の国会で、昨年の海兵隊員の殉職事故を巡る政権の対応について特別検察官を任命して捜査させる法案を強行採決で可決した。尹氏夫人の金建希氏が知人の牧師から高級バッグを受け取ったとされる疑惑の追及も強める。
 尹氏は会見で海兵隊員の殉職について「心が痛む」と表明。また「私の妻の賢明でない振る舞いで国民に心配をかけた」と謝罪した。一方、特別検察官任命については「趣旨に合わない政治攻勢だ」と批判した。
 会見後、共に民主党の報道担当者は「自画自賛ばかりで、国政運営への反省は見られない。頑固な大統領の姿に国民は絶望している」と主張し、「尹政権をけん制し、正すことに全力を尽くす」と強調した。尹氏が特別検察官の任命法案に拒否権を行使すれば、国会で再議決を目指す構えだ。 

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