インド情報機関、友好国で暗躍=暗殺計画や機密窃取未遂―報道 2024年05月03日 15時46分

在カナダ・インド大使館の門=2023年10月、オタワ(AFP時事)
在カナダ・インド大使館の門=2023年10月、オタワ(AFP時事)

 【ニューデリー時事】インドの情報機関やスパイが友好国で暗躍している実態が相次いで報じられた。米国での暗殺計画の詳細やオーストラリアでの機密情報窃取未遂が判明。両国はいずれも近年インドとの関係を強化しており、対応に苦慮しているようだ。
 米司法省は昨年、ニューヨークでシーク教徒男性の暗殺計画があったと発表。計画は昨年5~6月に進められていたが、最終的に米当局が阻止した。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は今年4月末、複数の米印当局者らの証言に基づき、計画に関わったインドの対外情報機関「調査分析局(RAW)」職員の実名を初めて報じた。
 同紙によると、職員の男はシーク教徒男性殺害に関する指示を実行役に伝えていた。米当局はRAW長官だけでなく、モディ首相の側近として知られるドバル国家安全保障担当補佐官も「恐らく計画を知っていた」と分析。米国はインドとの関係悪化を避けつつ事態に対処する方法を話し合うため、昨年7月にハイレベル会合を開いたとも報道されている。
 職員の男は、昨年6月にカナダで起きた別のシーク教指導者殺害事件にも関与したとされる。インド政府はシーク教徒の分離独立運動を脅威とみなし弾圧している。
 インド外務省のジャイスワル報道官は4月30日の声明で、ワシントン・ポストの報道について「不当で根拠がない」と反発。インド政府が設置したハイレベル委員会が調査中であり「臆測や無責任なコメントは無用だ」と主張した。
 豪州の公共放送ABCは、インドの複数のスパイが国防や空港のセキュリティーなどに関わる機密情報を盗もうとしたとして2020年に国外退去処分になっていたと伝えた。スパイは現地でインド系住民の監視も担っていたとされる。ウォン豪外相は記者会見で「外国の介入に対処する法律はある」と述べつつ、問題への直接的なコメントは避けた。
 米国とカナダ、豪州は、英国やニュージーランドと共に機密情報を共有する英語圏5カ国「ファイブアイズ」のメンバー。カナダ駐在の米大使は昨年、カナダでのシーク教指導者殺害事件の情報を「ファイブアイズ間で共有している」と発言した。 

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