日トルコ友情の曲で平和訴え=和歌山の音楽家、豪で公演 2024年04月30日 05時46分

29日、オーストラリア・シドニーのオペラハウスでの公演で指揮する向山精二さん(中央左)(主催者提供)
29日、オーストラリア・シドニーのオペラハウスでの公演で指揮する向山精二さん(中央左)(主催者提供)

 【シドニー時事】日本とトルコの友情を題材にした交響曲で平和を訴えるコンサートが29日夜(日本時間同)、オーストラリア最大都市シドニーのオペラハウスで開かれた。作曲した和歌山県の音楽家、向山精二さん(78)が自ら指揮し、「争いよりも助け合いを」と呼び掛けた。
 披露された組曲「友情」は、二つの歴史的逸話を基に作られた。1890年、オスマン朝時代のトルコの訪日使節団が乗った軍艦「エルトゥールル号」が和歌山県串本町沖で台風に遭い沈没。500人超が死亡したが、69人の命が住民らに救われた。その恩返しとして、1985年のイラン・イラク戦争時、テヘランに取り残された日本人215人の脱出をトルコ航空機が助けた。
 記録・再現映像に合わせたオーケストラの迫力ある演奏に、2000人近くの観客が引き込まれた。テヘラン脱出者の一人、沼田準一さん(81)は舞台に上がり「イラクの爆撃で死ぬかと思っていたら助けてくれた。トルコに心の底から感謝している」と証言。40代の豪州人男性は「両国の友情は良いモデル。現代にも参考になる」と語った。
 向山さんはガス会社を経営しながら作曲家・指揮者として活動。トルコ公演は十数回に上り、ニューヨークやベルリンでも催行した。 

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