本格衝突避け幕引き図る=攻撃受けたイラン、静観の構え―レーダー標的にとどめたイスラエル 2024年04月20日 20時44分

イラン最高指導者ハメネイ師=3日、テヘラン(最高指導者事務所提供・EPA時事)
イラン最高指導者ハメネイ師=3日、テヘラン(最高指導者事務所提供・EPA時事)

 【イスタンブール時事】イスラエルによる19日のイラン攻撃で、イラン指導部は20日もほぼ静観を続け、イスラエルも表立って攻撃を認めていない。双方とも「報復の連鎖」による本格衝突は避けたい考えとみられ、慎重な対応に努めている。
 最大の焦点は、イランが1日の在シリア大使館空爆への報復として行った大規模攻撃に続き、再びイスラエルに反撃するかどうかだ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は19日、イランの対応は緊張激化回避の意図の表れで、米政権内でも作戦についてかん口令が敷かれていると伝えた。
 イランのライシ大統領は、19日の演説では同日未明の攻撃に触れず、先の対イスラエル直接攻撃の戦果を改めて誇示するにとどめた。最高指導者ハメネイ師や精鋭「革命防衛隊」も、イスラエルによる攻撃への反応は一切示していない。
 イスラエルの今回の報復攻撃では、核施設などがある中部イスファハンで防空システムが作動。米ABCテレビによると、イスラエルは戦闘機を出動させ、イラン国外から核施設防護用の防空レーダーを標的にミサイル3発を発射した。施設攻撃能力を示す意味があったとみられるが、被害は伝えられていない。
 イランは大使館空爆をイスラエルの仕業と断定し、早々と報復を明言。ただ、イスラエルや米国との全面衝突は望まず、時期や規模を慎重に検討して反撃まで12日間を要した。イスラエルの軍事施設に標的を絞り、ドローンやミサイル迎撃の時間的猶予を与える形で配慮もしていた。
 革命防衛隊のサラミ司令官は、対イスラエル攻撃後に「シオニスト(イスラエル)の邪悪な攻撃に見合った水準にとどめた。もっと規模を大きくできた」と主張。国内の引き締めや体制指導部の求心力を保つためにも、イスラエルや米国へのけん制は続けたい意向だ。
 一方で、イスラエルとの応酬はイランにも負担や代償が大きい。アブドラヒアン外相は19日、訪問先のニューヨークで米NBCニュースに、イスラエルから攻撃があったことを否定。「シオニストが新たな冒険主義に出ない限り、報復しない」と述べた。19日の攻撃を矮小(わいしょう)化し、幕引きを図る構えとみられる。 

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