イスラエル軍「発砲」に非難殺到=市民112人死亡、国連は調査要求―休戦交渉に悪影響も・ガザ 2024年03月01日 15時31分

2月29日、パレスチナ自治区ガザ市で、支援物資を待っていた多数の市民が死亡した事件を受け、嘆く人々(AFP時事)
2月29日、パレスチナ自治区ガザ市で、支援物資を待っていた多数の市民が死亡した事件を受け、嘆く人々(AFP時事)

 【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザの保健当局は2月29日、イスラエル軍が同日、北部で支援物資を待っていた人々に発砲し、112人が死亡したと発表した。ガザ当局は「大虐殺だ」と非難する一方、イスラエル側は「警告射撃をしただけ」と反論。しかし、国際社会からは「民間人への攻撃は正当化できない」(フランス)、「人道に対する罪を再び犯した」(トルコ)などと批判が高まっている。
 イスラエル側の説明では、住民数千人が30台のトラックに殺到し、押し倒されて数十人が死亡。車両にひかれた人もいたと主張している。ただ、イスラエル政府筋はAFP通信に、市民が軍に「脅威を感じさせたため」発砲したことを認めた。目撃者によれば、軍の戦車に市民が近づき過ぎたため撃たれたもようだ。
 ガザ北部では食料難が深刻化。援助物資を載せたトラックへの略奪事件も過去に起きていた。
 グテレス国連事務総長は29日、今回の事件について「衝撃を受けた」と表明。独立した効果的な調査が行われる必要があるとの認識を示した。
 事件を受け、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止と人質解放を巡る交渉への悪影響を懸念する見方も出ている。バイデン米大統領は29日、記者団から交渉が複雑になるか問われ、「そうなると思う」と答えた。「(実現を)望んでいる」としていた3月4日までの交渉妥結は困難との見通しを示した。
 ロイター通信によれば、ハマスは「(イスラエルが)市民に直接発砲した否定できない証拠」をガザ当局が提示したと説明。交渉を危機にさらす恐れがあると強調した。 

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パレスチナ自治区ガザ北部で、支援物資を積んだトラックを囲む市民とされる画像=イスラエル軍が2月29日に公開した映像より(AFP時事)
パレスチナ自治区ガザ北部で、支援物資を積んだトラックを囲む市民とされる画像=イスラエル軍が2月29日に公開した映像より(AFP時事)

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