アート「武器」に平和実現を=不屈精神、受難の祖母譲り―ウクライナ系米国人女性 2024年02月24日 10時38分

オラ・ロンディアックさんの作品集のカレンダーに掲載された絵=22日、ニューヨーク
オラ・ロンディアックさんの作品集のカレンダーに掲載された絵=22日、ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】ロシアによるウクライナ侵攻から24日で2年。ウクライナ系米国人女性アーティスト、オラ・ロンディアックさん(57)が創作活動を通じ、ウクライナの平和実現を目指している。母方の祖母は旧ソ連のスターリン体制で不当に強制労働収容所に送り込まれ、あり合わせの物を用いて刺しゅうを制作。静かに抑圧に耐えた強い意志を受け継ぎ、ロシアの暴挙終結に向け、アートの力を生かしたいと願う。
 ロンディアックさんは米中西部オハイオ州生まれ。だが「土曜日にはウクライナ学校に通い、ウクライナ人のように感じながら育った」と家族のルーツに誇りを持つ。旧ソ連崩壊後の1995年にウクライナに移住し、育児の傍ら独学で絵画と彫刻の制作を始めた。現在は米国などウクライナ国外を主な活動場所としている。
 母と祖父はスターリンの迫害により、第2次大戦中にウクライナから逃れたが、祖母は母の姉を看病するためとどまり、47年に反体制組織を支援したとして逮捕。裁判を経ずに収容所に送られたという。
 「自分の創作道具が武器」。ロンディアックさんは収容所で未完成だった祖母の刺しゅうに触発された作品を制作。長時間労働後の夜に魚の骨を針、自身の衣類を糸として刺しゅうを作った祖母について「直接会っていないが、自分の人生に大きな影響を及ぼした」と話す。ロシアの侵攻にさらされる中でも、「文化を守り続けることが極めて重要。われわれが生きることになるから」と述べ、ウクライナの伝統、激動の同国での実体験もアートに昇華させている。
 日本には謝意を示し「日本のような国がウクライナへの精神的、財政的、文化的な支援を続ければ、ウクライナの勝利につながる」と力を込める。日本のアーティストから共催を持ちかけられ、4月には日本でも出展する。「自由と存在のために闘う」不屈の心を感じられそうだ。 

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米フロリダ州からネット経由で取材に応じたオラ・ロンディアックさん=21日、ニューヨーク
米フロリダ州からネット経由で取材に応じたオラ・ロンディアックさん=21日、ニューヨーク

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