言論統制でもナワリヌイ氏報道=死亡発表から1週間―ロシア 2024年02月22日 16時06分

20日、モスクワの政治犯追悼碑前で十字を切る男性(AFP時事)
20日、モスクワの政治犯追悼碑前で十字を切る男性(AFP時事)

 ロシアのプーチン大統領を批判し、収監された反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡が発表されてから23日で1週間となる。この間、言論統制下で主要メディアは当局発表を除いてほぼ「沈黙」。ただ、ゲリラ的に関連ニュースを報じる新聞やテレビもあり、内政の重大事案であることを印象付けた。
 週刊紙ソベセドニク最新号(21〜27日付)は、ナワリヌイ氏の写真を1面に掲載。「しかし、希望はある!」という言葉を見出しに掲げ、変革への望みを失わないよう訴えた。
 ナワリヌイ氏は政権から「テロリスト」「過激派」「外国のスパイ」とあらゆる言葉で糾弾されており、英雄視する形で3面まで特集を組むのは極めて異例。16日の死亡発表やこれまでの歩み、市民が政治犯の追悼碑に献花しようと次々と訪れる様子の写真も紹介した。
 ところが、独立系メディアによると、モスクワで新聞・雑誌を販売するほぼ全店からソベセドニクは回収された。販売店には「売るな」という通達があったという。同紙記者は「理由が分からない。いかなる法律にも違反していない」と反発した。
 一方、政府系テレビ「モスクワ24」は18日、天気予報コーナーの背景として突然、旧ソ連国家保安委員会(KGB)本部前にある政治犯の追悼碑の映像を放送。キャスターは「ここはどこでしょう。私は何も聞いていませんが…」と説明に窮した。追悼の動きがデモに転化しないよう警官が目を光らせる中、市民が献花する様子が映り、意図を巡って臆測を呼んだ。 

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