北欧、対ロシアで連携加速=欧州安保強化をけん引―NATO加盟のフィンランドなど 2024年02月21日 17時32分

フィンランド次期大統領のストゥブ元首相=18日、独南部ミュンヘン(AFP時事)
フィンランド次期大統領のストゥブ元首相=18日、独南部ミュンヘン(AFP時事)

 【ロンドン時事】ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、ロシアと地理的に近い北欧諸国は米国などとの軍事連携を加速し、共同で防空能力向上に努めるなど防衛強化に余念がない。いずれも人口は小規模ながら、東の大国ロシアへの危機感を背景に力を結集。新たな欧州安全保障体制構築のけん引役となりつつある。
 「(ロシアへの対応は)国の存続に関わる。欧州が自らを守ることは極めて重要だ」。2月中旬のフィンランド大統領選決選投票で勝利したストゥブ元首相は投票前、危機感を共有する各国が対ロ政策で連携していく必要性をこう訴えた。
 ロシアと長い国境を接するフィンランドでは、ウクライナ侵攻で安保上の懸念が急速に拡大。長年にわたった軍事的中立路線を捨てて昨年4月に北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、集団防衛の保障を得たが、その後も警戒を緩めることなく防衛力増強を推進している。国境警備強化でロシア方面に目を光らせるほか、昨年末には米国との間で、米軍の国内駐留を認める防衛協力協定を結んだ。
 協定は対ロ軍事衝突を念頭に、2カ国間の迅速な防衛協力を促す内容。同様の協定は、近くNATOに正式加盟する見通しのスウェーデンや、ロシアと一部国境を接するノルウェーのほか、デンマークもそれぞれ米国と締結。スウェーデンとフィンランドは英国とも安保協定を結んでいる。
 北欧4カ国は昨春、ロシアの脅威に共同で対処するため、各国空軍の統合運用を可能にする防空体制の創設で合意した。共通の指揮系統の下で作戦を行うもので、デンマーク空軍幹部は「4カ国の統合された空軍戦力は欧州の大国に匹敵する」と強調。「ミニNATO」結成とも言われ、変容する欧州安保の新たな形として注目が集まっている。 

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