ロシア資産活用、具体策検討=EUは法整備、慎重論も―G7 2024年02月21日 15時57分

イエレン米財務長官(EPA時事)
イエレン米財務長官(EPA時事)

 【ワシントン時事】日本を含む先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)が、経済制裁の一環で凍結したロシア資産について、ウクライナ復興への活用に向けた具体策の検討を進めている。ロシア中央銀行の凍結資産の3分の2が集中するEUは今月、凍結資産の移動を禁止し、利息収入などを区別して取り置くよう定めた規則を決定。資産活用への「道を開く」と説明し、具体化へ一歩を踏み出した。
 ただ、欧州はロシアとの経済的な関係が深く、財産権侵害など法的な問題を懸念する慎重論も残る。24日に開かれるG7首脳会議でも議論されそうだ。
 EUによると、ロシア中銀の凍結資産は2600億ユーロ(約42兆円)。最も多く持つ欧州の債券決済機関「ユーロクリア」では、昨年1年間で44億ユーロの利息を生んだ。
 G7やEUは、法的な問題の検証を重ねてきた。EUは、利子の転用は可能との見方を固め、「ウクライナ支援のための資金枠に振り向ける可能性がある」と表明。欧米メディアによると、凍結資産を担保にして資金を借り入れる案も浮上している。
 積極姿勢を示すイエレン米財務長官は今月に入り、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁と会談したほか、米独首脳会談にも同席した。ロイター通信によると、ECBやドイツでは慎重論が残るが、イエレン氏は記者団に「全員が、ウクライナ支援の継続が不可欠だと認識している」と自信を示した。日本にも米財務省高官を派遣した。
 タス通信によると、ロシアは凍結資産が接収された場合、「非友好国に合法的で経済的な影響を与えるいくつかの選択肢を検討している」(ロシア外務省報道官)と報復を警告した。ロシアにある欧米企業の資産没収などが警戒されているが、「幅広くリスクはある。慎重に調べ、軽減策を考えている」(イエレン氏)と、あくまで資産活用を模索する構えだ。 

海外経済ニュース