米、ガザ情勢で孤立鮮明=安保理決議案に4回目拒否権―国連 2024年02月21日 20時36分

20日、ニューヨークで開かれたパレスチナ情勢を巡る国連安保理会合で、決議案への拒否権を行使するトーマスグリーンフィールド米国連大使(AFP時事)
20日、ニューヨークで開かれたパレスチナ情勢を巡る国連安保理会合で、決議案への拒否権を行使するトーマスグリーンフィールド米国連大使(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】バイデン米政権は20日、パレスチナ自治区ガザでの「人道的な即時停戦」を求める国連安全保障理事会の決議案に拒否権を発動した。全15理事国のうち、反対したのは米国のみ。日本など13カ国は賛成し、英国は棄権した。ロシアのウクライナ侵攻開始から2年を迎えるのを前に、対ロシアで結束を呼び掛ける立場にありながら、ガザ情勢を巡る米国の孤立が鮮明となった。
 イスラエルとイスラム組織ハマスが昨年10月に衝突して以来、安保理で米国が関連決議案に拒否権を行使したのは、修正案に対する発動を含めて4回目。イスラエル軍がガザ最南部ラファへ地上戦を準備する中での米の拒否権行使に、フランスやスイス、スロベニアなど欧州の理事国からも「遺憾」や「失望」の声が上がった。
 中国の張軍国連大使は、米国が「虐殺の継続に青信号を出している」として「強い不満」を表明。ロシアのネベンジャ国連大使も米国が「安保理に新たな暗黒の歴史を刻んだ」と皮肉った。
 トーマスグリーンフィールド米国連大使は、現時点での決議案採択は、人質解放や戦闘休止に向けた外交交渉に「悪影響を及ぼす」と拒否権発動を正当化した。一方で「実現可能になり次第の一時的な停戦を支持」と明記した独自の決議案を各理事国に配布。採択を目指す意向を示した。
 米国はこれまで「停戦」という文言を含む決議案には一貫して反対してきたが、今回条件付きながらも自ら初めて盛り込んだ。バイデン政権に対する国内外の圧力や、戦闘継続に固執するイスラエルへのバイデン大統領の不満が反映されたとみられる。ある外交筋は「米国には相当なプレッシャーがかかっている」と話した。 

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