〔NY石油〕WTI反発、78.99ドル(8日) 2024年05月09日 04時50分

 【ニューヨーク時事】8日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、需給引き締まり観測を背景に反発した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.61ドル(0.78%)高の1バレル=78.99ドルだった。7月物は0.50ドル高の78.56ドル。
 米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した3日までの1週間の米石油在庫統計によると、原油在庫は前週比140万バレル減となり、取り崩し幅は市場予想(110万バレル減=ロイター通信調べ)を上回った。ガソリン在庫は90万バレル増、ディスティレート(留出油)は60万バレル増と、石油製品の在庫は予想に反する積み増しとなったものの、統計発表後は需給逼迫(ひっぱく)懸念が浮上し、相場は買いで反応した。
 一方、中東情勢の先行きには引き続き不透明感が漂っている。パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止と人質解放に向けた間接交渉で、仲介に当たる米国のバーンズ中央情報局(CIA)長官は8日、イスラエルを訪問。ネタニヤフ首相と会談した。交渉進展への期待が高まる中、エジプトでは8日も交渉が続いたものの、ロイター通信によると、イスラエル当局者は進展の兆しはないとの見解を表明した。
 アナリストの間では、原油価格における地政学リスクは後退していると見る向きもある。一部報道によると、モルガン・スタンレーは国際原油価格の指標である北海ブレント先物相場見通しに含めているリスクプレミアムについて、緊張激化への懸念は後退しているとして、第3四半期は4ドル分を差し引く方針を示した。
 ▽ガソリン=続落。中心限月6月物の清算値は1.16セント安の1ガロン=253.18セント。▽ヒーティングオイル=4営業日続伸。6月物の清算値は1.05セント高の1ガロン=247.61セント。

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