自治体の産業用地整備を支援=今年度、数十団体選定へ―企業の「国内回帰」に対応・経産省 2024年05月10日

 経済産業省は、産業用地の整備を目指す都道府県や市町村への支援強化に乗り出す方針を固めた。製造業を中心に企業の間で生産拠点を海外から国内に戻す「国内回帰」が進んでいるため。職員の育成や用地確保の助言といった専門機関のサポートを受けるための費用について、自治体負担を半額程度に軽減することを検討。2024年度中に数十の自治体を選定し、支援を始める方向で調整する。
 工場誘致は地方経済の活性化につながり、地域の中小企業など関連産業への波及効果も期待されており、14日に開催予定の産業構造審議会(経産相の諮問機関)の会合で表明する。
 経産省では、産業用地に適した立地や企業のニーズなどを調査する自治体に対し、専門機関が伴走支援したり、土地開発の法令に関する職員向け研修を開いたりすることを想定。中小企業基盤整備機構の助成金を原資とする約11億円の基金を活用することで、自治体の費用負担を半分程度に抑える方針だ。28年度まで継続する計画で、24年度は6月ごろの公募開始を目指す。
 円安の影響でアジア諸国などで生産する利点が薄れたことに加え、米中対立などの地政学リスクが高まり、海外に生産拠点を移してきた製造業の一部で国内回帰を図る動きが加速している。ただ、経産省が23年度、都道府県と政令市に対して実施した調査では、企業が求める産業用地を確保できたと回答した自治体が1割程度にとどまった。
 ある県の担当者は「専門知識を備えた職員が不足している」と指摘。産業用地に適した土地や開発資金の確保が難しい自治体も多く、経産省は支援を通じて自治体側の「供給力」向上を目指す。 

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