支援金、試算小出しに批判=政府は「実質負担ゼロ」強調―少子化対策 2024年04月19日

 子ども・子育て支援法などの改正案を巡る衆院審議では、少子化対策の財源に充てる支援金が最大の争点となった。政府は「実質負担はゼロ」と強調するが、野党は「事実上の子育て増税だ」と指摘。平均450円とされた負担額について、後になって1000円を超える場合もあるとの試算が示されるなど、小出しに説明する政府の姿勢にも批判が集まった。続く参院審議を通じ、国民の理解を得られるかが問われる。
 加藤鮎子こども政策担当相は19日の閣議後記者会見で、議論は尽くされたかとの質問に「支援金にさまざまな意見があることは存じ上げている。制度の意義を引き続き丁寧に説明する」と語った。
 審議では、支援金を巡る政府と野党の考え方の違いが浮き彫りとなった。政府は歳出改革や賃上げにより、実質的な負担は生じないと繰り返し説明してきた。一方、野党は支援金によって現役世代の負担が膨らみ、少子化対策に逆行するとして反発。個人だけでなく事業者も拠出するため、賃上げを阻害しかねないとも指摘した。
 具体的な負担水準もテーマとなった。政府は審議入り直前の3月29日、保険加入者1人当たりの月々の負担額が平均450円になるとの試算を公表。野党はさらに詳細なデータを示すよう求め、政府は今月9日にサラリーマンの年収別試算を提示。11日には自営業者、16日に75歳以上の高齢者の分も明らかにした。徴収額が1000円を超えるケースも少なくないことが明らかになり、「当初言っていたワンコインとはまったく違う」(立憲民主党の大西健介氏)との批判が出た。
 政府は一連の試算について、あくまで機械的に算出したもので、今後の賃金水準によって変わると説明。数字が独り歩きすることに懸念を持つ。ある関係者は「施行までの間にもう1回整理して、正しい情報が届くようにしないといけない」と語り、正確な情報発信と理解促進の両立に苦心する様子をうかがわせた。 

特集、解説記事