プライム時価総額1000兆円=東証再編2年、企業改革道半ば 2024年04月09日

 東証の市場再編から2年が経過し、旧東証1部上場企業の大半が移行したプライム市場の時価総額は合計で1000兆円に迫った。再編当初と比べ、株高を追い風に4割増えた一方、上場企業の数は1割減った。投資家の期待通りに「最上位」市場の選別が進みつつあるが、企業の経営改革はまだ道半ばだ。
 時価総額は株価と発行済み株式数を掛け合わせたもので、その企業の規模や価値を示す。プライム上場企業の合計額は、再編当初の約680兆円(2022年4月末)から約970兆円(24年3月末)に42%膨らんだ。昨春、東証が「資本効率や株価を意識した経営」を呼び掛け、企業改革の機運が広がったことも海外投資家による日本株買いを加速させた。
 一方、2年前に1838社だったプライム企業は、今月9日時点で1651社に減少した。再編当初は上場基準を満たさない旧1部企業も移行できる経過措置が認められ、投資家は「横滑り」などと批判。その後、東証が経過措置の打ち切りと、審査なしに中堅企業向けスタンダード市場へ移行できる特例を決めると、「移籍」を受け入れる企業が相次いだ。
 第一生命経済研究所の河谷善夫研究理事によると、プライム市場で時価総額1000億円以上の企業は今月1日時点で約半数に達した。全体に占める割合は再編時の40%弱から約10ポイント上昇。東証の岩永守幸社長は「粒ぞろいの顔ぶれになってきた」と胸を張る。
 ただ、1社当たりの時価総額で見ると、プライム企業は6000億円に届かず、米ニューヨーク証券取引所には遠く及ばない。東証は引き続き企業価値の向上を促す方針で、今年1月から資本効率の改善など東証の要請にどう対応しているか開示した企業名を月ごとに公表。大和総研の神尾篤史主任研究員は「成長に向けた投資にどう取り組むかなど説得力のある開示を促せるかが問われる」と話す。 

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