放送・通信政策への影響調査=総務省接待、検証委が初会合 2021年03月17日

 総務省幹部が利害関係のある放送関連会社「東北新社」やNTTから高額な接待を受けていた問題で、許認可など行政への影響を調べる「情報通信行政検証委員会」(座長・吉野弦太弁護士)の初会合が17日、開かれた。検証委は、両社による接待時期に近い許認可や政策決定への影響の有無を幅広く調査する方針だ。
 検証委は非公開で、後日議事要旨を公開する。東北新社やNTTのほか、高額接待が発覚して辞職した山田真貴子前内閣広報官、谷脇康彦前総務審議官からの聞き取りも検討。NTTから接待を受けたとされる政務三役経験者の決裁プロセスへの関与も調べる考え。
 武田良太総務相は初会合で「第三者の立場から徹底的に検証していただきたい」と要請。吉野座長は会合後の記者会見で「(行政の)透明性、公平性確保のために、どうあるべきか包括的に提言する」と述べた。
 東北新社は2017年1月、放送法の外資規制に違反していたにもかかわらず、衛星放送事業者として認定された。違法状態を解消するため、同10月に事業を子会社に引き継いだ。
 東北新社の中島信也社長は衆参両院の予算委員会で、同8月に外資規制に抵触していることに気付き、総務省側に伝えたと主張。しかし、同省側は「報告を受けた記憶はない」と答弁して主張が食い違っており、検証委が調べる見通し。
 NTTをめぐっては、NTTドコモの完全子会社化や、菅政権の値下げ要請を受けたドコモの携帯電話割安料金プラン「アハモ」投入に、高額接待が影響を与えたのかが焦点となりそうだ。総務省はNTT分割を進めたかつての政策を転換し、グループ再結集を容認した経緯がある。
 17日の参院予算委で、立憲民主党の小西洋之氏はドコモの完全子会社化について、NTT法で大臣認可が求められている事業計画の変更が必要だったのではないかと追及。総務省の竹内芳明総合通信基盤局長は「事業計画遂行に支障が生じるといった影響がなく、大臣認可は必要ないと(当時)判断した」と説明した。 

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