中国戦力、26年に米軍超越も=西太平洋で脅威「加速」 2021年03月10日

 【ワシントン時事】米軍内部で、中国が当初の予想より早く深刻な軍事的脅威になるという危機感が強まっている。米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は9日、上院軍事委員会の公聴会で、中国が地域覇権を握ろうとする動きを加速していると強調。2026年までに西太平洋における軍事力で米軍を上回る可能性があると警鐘を鳴らした。
 時事通信が入手した25年時点の米中両軍の戦力予想(米軍作成)によると、西太平洋に展開する空母の数は、米国の1隻に対して中国は3隻。強襲揚陸艦は米国4隻、中国12隻。多機能戦闘艦は米国12隻、中国108隻で、中国が地の利を生かし、米軍を数で圧倒する見通しだ。
 デービッドソン氏は、中国が過去20年間で急速な軍備拡張を進める一方、米国の前方展開戦力はほとんど変化しておらず、「通常戦力による抑止力はむしばまれつつある」と警告。「前方展開する米軍の態勢を変えなければ、中国が量的に米軍の戦力を大きく上回ることになる」と訴えた。
 また、香港や台湾、南シナ海、東シナ海での中国の行動を分析する限り、中国が軍事力で米軍を追い越し、武力を行使して地域秩序の現状変更を図ろうとする時期が「早まりつつある」と指摘した。公聴会に先立ち、米シンクタンクでの講演では、中国が26年までに軍事力による現状変更を目指す可能性が高いとの見方を示していた。
 デービッドソン氏は対抗策として、26年までに米領グアムに陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を導入する考えを表明。沖縄からフィリピンを結ぶ第1列島線への地上発射型ミサイル配備も検討しており、議会に予算を要求している。 

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米インド太平洋軍のデービッドソン司令官=2018年6月、ソウル(EPA時事)
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官=2018年6月、ソウル(EPA時事)

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