最多88社で漏えい・紛失=個人情報、昨年2500万人分―商工リサーチ 2021年02月20日

 東京商工リサーチが20日までに発表した調査によると、個人情報の漏えい・紛失を公表した上場企業・子会社の数が昨年1年間で88社に上り、調査を始めた2012年以降で最多となった。合計では延べ2515万人分と高水準で、商工リサーチは未上場企業を含めれば「天文学的に膨れ上がる恐れがある」(情報本部)と警鐘を鳴らしている。
 調査結果では、88社の漏えい・紛失原因のうち「ウイルス感染・不正アクセス」が約半数を占めた。電子メールなどによる「誤表示・誤送信」も約3割に上った。
 外部からのサイバー攻撃は流出件数が桁違いに膨らむ傾向が認められるといい、スマートフォン決済大手「PayPay(ペイペイ)」(東京)は昨年12月、全加盟店260万店の情報などが入った管理サーバーが不正アクセスを受けたと発表。加盟店の代表者名やペイペイ従業員の連絡先など延べ約2007万件が流出した可能性がある。
 漏えい急増の背景として、新型コロナウイルス禍に前後して、企業が前のめりとなったデジタル化対応や在宅勤務の普及が要因に挙がる。情報セキュリティ大学院大学の藤本正代教授は「企業が試行錯誤で手いっぱいとなり、安全対策が不十分となった可能性がある」と指摘した。
 多くの企業がコロナ収束後も在宅勤務を積極的に活用していく考えを表明。新たな働き方への対応や巧妙化するサイバー攻撃への対策強化が急務となる。 

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