日鉄、鹿島の高炉1基休止へ=需要回復見込めず 2021年02月19日

 日本製鉄が東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)の高炉2基のうち、1基を休止する方向で検討していることが19日、分かった。国内の鉄鋼需要の大幅な回復が見込めないため、生産能力を縮小し、設備の稼働率を上げて収益の改善を図る。
 数年以内に休止する見通し。鹿島地区では現在約3000人が働いているが、高炉が休止されれば人員が余剰となる可能性もあり、配置転換などを検討する。
 日鉄の連結純損失は2020年3月期が4315億円、21年3月期は1200億円の見通しで、製鉄事業の赤字が収益を圧迫している。
 同社は既に、瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の高炉2基、関西製鉄所和歌山地区(和歌山市)の高炉1基の休止を決めている。鹿島の1基を休止すれば高炉は現在の14基から10基に減り、生産能力は2割程度低下することになる。
 国内の鋼材需要は、19年度に6000万トンを下回り、20年度も新型コロナウイルスの影響で5000万トン台前半にまで落ち込む見通し。日鉄は現在も高炉2基の稼働を一時停止させているが、「中長期的には日本での生産はもう少し絞るべきだ」(宮本勝弘副社長)との考えを示していた。 

特集、解説記事