10~12月期GDP、12.7%増=20年は11年ぶりマイナス 2021年02月15日

 内閣府が15日発表した2020年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比3.0%増、この成長が1年続いた場合の年率換算で12.7%増だった。プラスは2四半期連続。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で4~6月期に景気が急減速したことが響き、20年暦年では前年比4.8%減とリーマン・ショック後の09年以来11年ぶりのマイナス成長だった。
 10~12月期の成長率は7~9月期(年率22.7%)から縮小し、実質GDP実額は年率換算で542兆円となった。コロナ禍が直撃した4~6月期には、過去最悪となる前期比45兆円の落ち込みを記録。その後の2四半期で9割を取り戻した計算となる。
 21年1~3月期はマイナス成長に戻る公算が大きい。大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「1~3月期の実質GDP成長率は年率8%程度の大幅なマイナス成長を見込んでいる。緊急事態宣言の再発令の影響を受け、個人消費を中心に落ち込むだろう」との見方を示している。
 西村康稔経済財政担当相は15日発表した談話で、「経済の下振れリスクに十分注意する必要がある」として、海外の感染動向などを注視する姿勢を示した。
 10~12月期は内需の柱となる個人消費が前期比2.2%増と2四半期連続のプラス。政府の需要喚起策「Go To」キャンペーンの効果で飲食・宿泊が好調で、自動車や携帯電話も寄与した。設備投資は半導体製造装置などが伸び、4.5%増と3四半期ぶりに増加へ転じた。輸出は自動車がけん引して11.1%増だった。
 物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比2.5%増、年率10.5%増となった。
 20年暦年の実質GDP減少率は09年の前年比5.7%に次いで戦後2番目の大きさ。個人消費は5.9%減と最悪の落ち込みを示した。設備投資は5.8%減と10年ぶりのマイナスで、輸出も12.3%の大幅減だった。 

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