中国系企業、パプアで都市建設か=豪州近海の島―メディア報道 2021年02月05日

 【シドニー時事】オーストラリアの公共放送ABCなど複数のメディアは5日、隣国パプアニューギニア南西部のダル島で中国系企業が新都市の建設を提案していると報じた。豪州近海にある同島をめぐっては、パプア政府が昨年11月、中国企業が漁業拠点を建設する覚書を締結し、豪州で漁業資源と国家安全保障の両面から懸念が高まった経緯がある。
 報道によると、この中国系企業は香港で登記されているWYWホールディングで、新都市「ニュー・ダル・シティー」の建設を提案している。トレス海峡を挟んで豪州本土から約200キロと比較的近いダル島の100平方キロに及ぶ範囲に港湾と、産業、商業、居住などの地区を整備する計画。事業規模は390億豪ドル(約3兆1000億円)に達し、約250億米ドル(約2兆6000億円)のパプアの年間国内総生産(GDP)を大きく上回るという。
 WYW側は会長らトップ2人がパプアのマラペ首相宛てに書簡を送り、「パプアが適切なインフラ開発を通じて大きく前進できる」などと事業の魅力をアピール。WYWは事業の所有権を企業側が一定期間保有する「BOT」方式での開発を求めている。
 マラペ首相の報道官は、この事業について「承知していない」と答えたという。 

特集、解説記事