北極海「極渦」が分裂、南下=記録的低温や大雪要因―19日ごろも暴風雪か・気象庁 2021年01月15日

 気象庁は15日、今冬の記録的な低温や大雪の要因を発表した。北極海上空の寒気を伴う低気圧「極渦(きょくうず)」が分裂して南下したため、日本付近に強い寒気が流入。1月上旬の平均気温は北日本(北海道と東北)で1985年以来36年ぶり、西日本では35年ぶりの低温となった。
 一方、日本海の海面水温は平年より1度程度高く、上空の寒気との温度差が大きくなって降雪量が増えた。大雪は冬型の気圧配置が強まった昨年12月14~21日と12月30日~今年1月3日、1月7~11日の計3回発生。総務省消防庁のまとめでは、除雪作業中の事故などで死者が少なくとも28人に上り、関越道や北陸道、東海北陸道で大規模な車の立ち往生が起きた。
 北海道や日本海側の豪雪地帯では、1月14日までの累積降雪量が2017~18年冬に並んだ。1月上旬の西日本日本海側の降雪量は平年比443%となり、61年の統計開始以来の最多記録。北陸は351%で4番目に多く、35年ぶりの大雪となった。
 72時間(3日間)降雪量は東北や北陸など19地点で最多記録を更新し、新潟県上越市・高田では1メートル87センチを観測した。
 極渦が南下した背景には偏西風の蛇行がある。偏西風は高緯度帯と中緯度帯の2種類あるが、いずれも日本付近で南に蛇行した。中緯度帯の偏西風の蛇行には、太平洋赤道域東部(南米沖)の海面水温が平年より低いラニーニャ現象の発生が間接的に影響している。
 19日ごろには低気圧が発達しながら北日本を通過するため、北・東日本の日本海側を中心に風や雪が強まる見込み。気象庁異常気象情報センターの中三川浩所長は「大雪や暴風雪があり得るので注意してほしい。その後は気温がかなり高くなり、落雪や雪崩が起きやすくなる」と話している。 

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豪雪地帯の1月14日までの累積降雪量グラフを示す気象庁異常気象情報センターの中三川浩所長。大雪だった3年前に並んだ=15日午後、東京都港区の気象庁
豪雪地帯の1月14日までの累積降雪量グラフを示す気象庁異常気象情報センターの中三川浩所長。大雪だった3年前に並んだ=15日午後、東京都港区の気象庁

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