5G、全国普及は数年後=携帯各社、エリア拡大急ぐ 2021年01月02日

 NTTドコモなど携帯大手各社が、次世代通信規格「5G」の普及に向け無線基地局の整備を急いでいる。昨年秋に米アップルが5G対応のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)12」を投入し、サービスへの関心は高い。しかし、5Gの通信エリアはまだ限られており、現行の「4G」のように全国どこでも利用できるようになるには数年かかるとみられる。
 ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクは昨年3月に5Gの携帯電話サービスを開始。楽天モバイル(東京)も半年遅れて提供を始めた。KDDIは5G端末の売れ行きについて「新型コロナウイルス感染拡大で厳しい状況が続いたが、足元は順調だ」(東海林崇副社長)と手応えを示す。
 調査会社のMM総研(東京)は、2020年度の5G対応スマホの出荷台数を833万台と予測。同年度に出荷される見込みのスマホの28%を占める。
 総務省は、23年度末時点の携帯各社による5G用基地局整備の目標を、従来計画の4倍の28万局に引き上げた。また、4Gの基地局を5Gに転用することも認め、今冬から運用が始まる。ただ、4Gの基地局を転用する場合、「周波数帯が変わらないため、速度は4Gと同程度になる」(業界関係者)と指摘されている。
 5Gは電波が届く範囲が4Gより狭く、より多くの基地局建設が必要となる。4G並みに全国で利用できるようになるのは、「2025年前後」(NTTの澤田純社長)との見方が多い。一方、政府が携帯料金引き下げ圧力を一段と強める中、「5Gへの投資拡大に影響が出る」(携帯大手関係者)との懸念も出ている。 

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次世代通信規格「5G」の無線基地局(KDDI提供)
次世代通信規格「5G」の無線基地局(KDDI提供)

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